マジカルルーちゃん
マリカルシッキー


マジカルルーちゃんのターン



…………きなさい…………
「んぅ、もうちょっと〜」
寝返りを打ちながら、甘い声を上げる。
……おきなさい………
それでも囁きかける声に少々困った
感じが混ざり始めている。
「あぅ、布団はがないで〜」
少女は声を上げる。
「……こ、これほどとは……コホン、ダメです。
社長〜起きてください。仕事の時間なのですから」
秘書は思わず写メールをとりながら、
鼻を押さえながら起し始める。
布団から出ている生足が妙に悩めかしい。
これがあのルーファス社長代理の生まれ変わった姿だとは
誰も想像できないだろう。
面影は何一つ存在していない。まるで別人である。
短髪ながら艶があり、肌は無駄毛一つない。
うっすらと頬を赤く染めているその寝顔の破壊力はいかばかりか……



別室の鬼斬技術部一同はこの様子を監視していた。
ピンク色の固有結界を発生させ、危険な空気に
包まれていた。
「……ハァハァ……」
「……ルータン萌え……」
およそ正気を保っている者はいかばかりか。
子曰く、なまじ技術を持ったオタクの熱は
すざましさを発揮するという。
「……欲情を持て余す……」
手作りグッツを作っていた男がすっと立ち上がる。
「ちょっと、俺、ルーたんのとこいってくるわ」
「俺も俺も」
「ルータンは俺の嫁」
我先にとドアへ殺到する。
このメンバーでの唯一の女性が声を上げた。
「オレオレ詐欺自重っていうか、アレはあの所長なんですよっ」
「そんなの関係ねぇ〜」
「そんなの関係ねぇ〜」
「そんなの関係ねぇ〜しばくぞっ」
一気に雪崩れそうになるのを止める者がいた。
技術部門課長である。
「なぁ、あんな可愛い子に『おねーちゃん〜』と
抱きついてきたら、おまえどうするよ」
「…………」
「しかも上目遣いでッいかにも弱弱しい表情でッ
信用しきってる表情で見つめられたらどうするよ」
「…………」
唯一の良心の化身がぐらっと体が揺れた。
拳を握りそれでも顔を抑え、にやけてくる口元が
隠し切れなくなってしまう。
「……私が……」
ボンと扉の前に陣取る男共に襲い掛かった。
理性的な眼の色が欲望へと忠実な攻撃色へと変色した。
「おーーーもちかえり〜」
別室は戦場へと変わった。




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