草凪家の夏二






「お父様ー海に連れて行ってくださーい」
「ダメだ」
きっぱりとお父様は言い放ちます。私は不満です。
子ども特有の尋ね方をしてみることにしました。
「どうしてー?」
「……海は海の住人がいてな。俺がいくと大変なことになる」
「ふーん……本当にダメなの?」
「ダメだ。俺だって俺だってなぁ」
お父様は大泣きしてしまって、私はこれ以上言うこともできませんでした。



「お母様ー山に連れていってくださーい」
「ダメよ」
きっぱりと、冷たい顔でお母様は言い放ちます。私は不満です。
子ども特有の尋ね方をしてみることにしました。
「どーして?」
「……いーい、御沙」
笑顔なしのお母様はとっても怖いです。
「……山は山の住民がいてね、私が行くとおかしなことになるの」
「おかしなこと?」
「例えば、子どもが誘拐されたり、落石がきたり、人質にとられたり、生贄にされたり、
そうそう。食べられそうにもなったわ……今思えばどうして無事だったのか、わからないぐらい」
お母様の顔がとっても青いです。疲れたような顔に、私は何も言えなくなってしまいました。
「だからね、御沙。山はダメなの」
「お父様は海もダメって」
「そう……ならどこにもいけないわね……」
バカンスはどこにもいけないことが確定してしまい、私は困ってしまいました。
どうしてかというと……
宿題が出来ないのです。夏休みの思い出を絵に描かなければならないのです。



仕方がないので、私は氷ちゃんにききました。
「……おまえの親父に、慰安旅行を忘れてないかを確かめろ。そうすれば温泉にはいけるはずだから」


氷ちゃんのおかげで私は温泉に行くことが出来ました。
その間、お父様もお母様もどこかに消えてましたが、メイドの皆さんと、氷ちゃんと仲良く
温泉を楽しみました まるっ



おまけ

「……くそ、どうしてバカンスに出れば厄介ごとに……」
日本刀片手に毒つく着流し姿の皇華。
「……運命、ということでしょう……」
半ばあきらめ気味で半眼。でも口元にはうっすらと笑みを浮かべている。着物姿の麗。
お互い、背を預けるような形で敵を見つめる。
周りには不意に襲ってきた得体の知れないものたちが取り巻いている。
皇華には敵が多い。これは当主になってから、そして麗と結婚してからわかりきっていたことだ。
「嬉しそうだな」
「皇華と一緒だもの♪」
「フッ、俺もだ。トラブルがないバカンスもしたいものだが……行くぞっ」
「はい♪」




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